令和6年12月 月例ミーティング 「ヒートショック」
令和6年12月の月例ミーティングは
ヒートショックについて
急激な温度変化の影響で血圧が大きく変動し、その結果として血管の病気が起きたり失神したりする状態のことです。
寒いときは血管が収縮することで血圧が上がり、反対に暖かいときには血管が拡張して血圧が下がります。これらの血圧の変化は体の機能を調節するための自然な反応であり、それ自体が健康に悪影響を及ぼすものではありません。
しかし、暖かい室内から寒い脱衣所や浴室に移動し、その後温かい湯船に入るといった行動は、温度変化に伴い血圧が急激に変動するため、ヒートショックが起きる可能性があります。血圧が急激に下降したときの症状であるめまいやふらつきが現れた際は、ヒートショックになり得る状況であることを認識し、適切に対処しましょう。また、浴槽に入ったタイミングでヒートショックが起きて意識を失った場合、溺死する恐れもあるため注意が必要です。
「ヒートショックが生じるリスクの高い方」
・高齢者
消者庁の分析によると、浴槽内での不慮の溺死および溺水による死亡者数は、高齢になるにつれて増加し、特に 75 歳以上(後期高齢者)の死亡者が多くみられます。また、不慮の溺死および溺水や家・居住施設の浴槽における溺水による高齢者の死亡者数は「交通事故」による死亡者数よりも多くなっています。
高齢者にヒートショックが見られやすい理由は、外気温の影響を受けたときに体温の維持が難しく、血圧が変化しやすいためです。
・高血圧の方
高血圧の方は、血圧の急激な上昇と下降が起きた際に低血圧症を引き起こしやすいとされています。
・糖尿病・脂質異常症の方
糖尿病や脂質異常症の方は、動脈硬化が進行している傾向があります。動脈硬化が進行している状態では血圧を正常に保つことが難しいため、ヒートショックのリスクが高いとされています。
ヒートショックの対策・予防法
ヒートショックのリスクを抑えるために、入浴時の工夫や気温の急激な変化が起きない環境の整備などを行いましょう。
「入浴時にヒートショックが起きるリスクを抑えるためのポイントは以下のとおりです。」
- 湯の温度は 41℃以下
- 湯につかるのは 10 分程度が目安
- 脱衣所と浴室の温度差を抑えるためになるべく日中に入浴する
- 食事や飲酒、服薬の直後の入浴を避ける
- 入浴前にコップ 1 杯の水分を摂取する
- 湯船に入る前に、手足から心臓に向かって順にかけ湯をする
- 浴槽から出るときは浴槽のふちや手すりをもってるゆっくりと立ち上がる
「気温の急激な変化がないように環境を整える」
浴室やトイレ、脱衣所など寒くなりやすい空間には暖房器具を設置し、別の空間へ移動するときに急激な温度変化が起きないようにしましょう。また、浴室に入る前に温かいシャワーを出しておき、気温差が小さくなってから入ることも有効です。
「脱水を避ける」
脱水状態により血液粘度が高まっている状態になり、そこに温度差による急激な血圧変動が起こることで、血流が維持できずヒートショックが起こりやすくなります 。脱水症状を避けるためにも、アルコールや多量のカフェインが含まれていない飲み物を入浴の前後に飲みましよう。
お水は味気なくて嫌な方は麦茶、黒豆茶、ルイボスティーはカフェインが入っていないようです。
ヒートショックが起きたらどうする?
ヒートショックが起きていると思われる人を見つけたら、まずは呼びかけます。呼びかけに反応しなかったり、呼吸が弱かったりした場合は救急車を呼びましょう。なお、意識があったとしても、頭痛や胸の痛み、体に力が入らない、うまく発音できないなどの症状がある場合も救急車を呼ぶ必要があります。
この時、溺れるのを防ぐためにすぐに浴槽の湯を抜きます。続いて、浴槽から引き上げてください。1 人で引き上げることが難しい場合は周りの人に助けを求めます。誰もいない場合は、引き上げずに救急車を呼びましょう。そして、呼吸や脈がない場合は心肺蘇生を行います。